外野手必見

15回目の今回は、外野守備です.

 

第60章
「外野守備」


 最近、外野守備で気になる光景を見かける。すなわち、イージーフライの片手捕り腰をおとさないままゴロを捕球することだ。これらは多分にプロ野球の影響が強いように思う。だが、外野守備の基本はやはり両手で捕球することであり、ゴロは腰をおとして捕球することだ。

 フライを両手で捕球しなければならない理由は、グラブの先端や土手で捕球した場合、ポロリと落球する可能性があるためだ。両手で捕球していれば、不安定な球をしっかり抑えることができる場合が多い。イージーフライといっても落下点までは走らなければならない。プロ野球のように整備されたグランドとは異なり、草野球のグランドは荒れている。たまたま落下点付近に石があったり、凹凸があり、足を取られることもある。そこでわずかな体勢のくずれが落球の原因となることもある。
 さらに、得点圏に走者がいる場合、捕球後直ちに3塁やホームに送球しなければならない。両手で捕球していればすぐに球を握ることができる。また、外野手は捕球の直前とかく走者のことが気になり、注意力が分散することがある。こうした場合に、思わず落球しがちである。両手で捕球していればこのような不安定な捕球を防ぐことができる。したがって、基本に忠実なプレーを心掛けるべきである。但し、両手で捕球する際、投げる方の手を突き指することがあるので注意する。

 一方、腰をおとさずゴロを捕球することは、フライの片手捕球よりさらに危険である。確かに、イチローが1・2塁間を抜けたゴロを片手のまま体の横で捕球し、矢のような送球で2塁走者をホームベース上でアウトにするのはカッコいいものである。外野手冥利に尽きるともいえる。しかし、草野球が使用する荒れたグランドではバウンドが変化する可能性が高い。こうしたゴロを腰高のまま、しかも体の横で捕球しようとして後逸したら、取り返しのつかないことになってしまう。まずは確実に捕球する。そのためには、基本に忠実に腰をおとし、体の正面で捕球することである。不規則バウンドしても、体で止め、前におとす。送球はそれからである。草野球では、ホームベース上で間一髪を争うケースが何回あるだろうか。後逸して無駄な点を与えることの方が多いのである。

 プロ野球は面白いし、見ていて学ぶべき点も多い。しかし、プロとしての体力、技術力、あるいは整備されたグランド環境に裏打ちされたプレーをそのまま素人が真似することは止めたほうがいい。やはり、基本に忠実なプレーを心掛けるべきだ。

 


【幹事補足】
 師の指摘は実に的を得たものだと言えます。確かに草野球人である我々は、プロ野球人のプレーに憧れ、ついそれを手本としてしまいます。私も外野守備のとき、フライの片手取りや、ゴロの腰高捕球をしてしまうのです。それが原因で過去に赤面を禁じえない大失態を演じたことが数度ありました。外野手のエラーはタイムリーになる可能性が非常に高く、例え自分が打点を挙げていたとしてもそれを帳消しにしてしまうほどの怖さがあります。自分の打撃を生かすためにも、「かっこ良さ」よりも「確実」に重きを置くべきでありましょう。