12回目の今日は、”声” です.重要ですよね!
第41章
「声」
よく「もっと声を出せ!」と言われる。スポーツの中でも声が特に重要視されるのは野球と剣道であろう。サッカーやラグビーでは、味方に指示・連絡するための声は出すが、野球や剣道で出す声とは少々意味が異なる。
野球や剣道は「間」が重要な意味を持つ。動作が「非連続」であるにもかかわらず、動作と動作の「間」が次の動作に影響し、自分の、そして相手の動作を左右する。打者が一つの動作を終了すると(バットを振る、一塁まで走る、出塁するなど)、ベンチからサインが出て、そのサインを敵味方が見て次の動作を予測し、バッテリーは配球を考える。野手は守備体形を考え、走者は相手のスキを狙う。これらが、「間」に行われる。 声はこの「間」に出す。自分を鼓舞するためだ。それが可能であればどんな言葉でもよい。しかし、相手に対するヤジはやめよう。自分を鼓舞することにならないし、相手を不愉快にするだけだ。強いチームにヤジを飛ばしても、相手から軽蔑されるだけだ。 高校野球では、打者が打席に入るときに声を出す。草野球では余り見かけないが、真似すべきであろう。野手には声を出せと言われるが、投手には声を出せとは言われない。しかし、気合を入れなければならないのは投手も同じである。一球毎に気合を入れる声を出してみてはどうだろうか。 全員が声を出すことによって、チーム全体が盛り上がる効果もある。逆転された途端、声が出なくなると、盛り上がりを欠き、再逆転する気力、執着心が低下してしまう。逆転された時、形勢不利なときこそ声を出し、チーム全体を盛り上げる必要がある。 投手が乱れ、突然ストライクが入らなくなった時、「ガンバレ」とか「ド真ん中でもいいぞ」と声を掛けることがある。しかし、投手は悪いのは自分であり、真ん中に投げようと思っていても入らないことをよく知っている。こんな時、なぐさめや励ましの言葉をかけてもらっても余り役立たない。ストライクが入らないのは、心の余裕を失い、ストライクを投げなくてはいけないという強迫観念に捕らわれているためだ。そんな時は心にゆとりを持たせる気分転換の一言がよい。その一言で、再びゆとりが生まれ、「ボール球で打ち取ってやる」という執着心が生まれれば、ピンチを凌げるものだ。 声は「間」をもたせるためではない。自分自身を鼓舞しパワーアップさせ、チーム全体の雰囲気を盛り上げ、かつ相手に恐怖心を与えるために出す、重要な戦術のひとつである。 |