5/30は 守り編です.
第51章
「守りのチーム」
野球は「まず守りから」と言われる。この「守り」は通常、投手力も含めた総合的な守備力を意味する。野球は投手力が勝敗の9割を支配するためであるが、その投手力を引き立てるも、潰してしまうのも内外野の守備力なのだ。それ故に、普通どのチームもまずバッテリー、遊撃手、二塁手、センターの中心ラインから固める。
捕手は肩が強く、盗塁を刺すことも勿論重要であるが、投手の調子と相手チームのバッティングをみながら、その日のベストピッチングを引き出すようにピッチングを組み立てる。こんなピッチングをしたら予想外に良かったという経験を投手にさせ、投手に自信とピッチングの幅をつけさせるのが捕手の最も大事な仕事だ。 何でもないゴロや飛球を失策し、それが失点に結びつくと勝敗に影響するのは当然である。だがそればかりではない。より深刻な問題は、投手の心理状態に悪影響を及ぼしたり、ピッチングの組み立てが狂うことだ。大事な場面での失策は、野手が思っている以上のプレッシャーを投手に与える。このプレッシャーがその後のピッチングに影響し、スピード、球のキレ、制球などが微妙に悪くなり、失策をキッカケにして投手が崩れるのはよくあるケースである。こういうことが度重なると、投手と野手との信頼感が薄れ、チーム状態も悪化する。逆に、捕れない球が捕れた、牽制球で走者を刺した、バックホームで得点を阻んだなどの好プレーが出れば、投手はのってきて、ますますいいピッチングをするようになる。そればかりでなく、チーム全体が盛り上がってくる。それ故に、「ピンチの後にはチャンスあり」なのだ。 一方、バッティングは相手投手の力に依存し、少しいい投手に出会うととたんに打てなくなるし、好不調があり強打者や好打者が常に活躍できるわけではない。つまり、打てなくても守備のよいチームの方が、結果として安定した試合展開を期待できるわけだ。失点を最小に抑え、相手のミスや数少ないチャンスを得点に結び付けられれば勝利を手に入れることが出来る。バッティングはフォーム、タイミング、筋力、動体視力、配球の読みなど練習と経験で上達するものの、強打者や好打者になるためには生来のセンスのよさと一種の「打撃開眼」的なものを必要とするが、守備力は練習量に比例して上達する。勿論、守備にもセンスの善し悪しは影響するが、バッティング程ではない。したがって、チーム力向上のためには守備練習により時間を割くほうが効率的なのだ。 といっても、守備練習よりバッティングの方が楽しい。バッティング練習をしていても、守備力も向上させる工夫を凝らすことが大切である。 【幹事補足】 通常、守備練習というとノックが主流ですが、ノックは基本姿勢の習得には非常に効果的ではありますが、必ずしも最善の方法であるとは言えないと私は感じています。 打撃練習では、トスバッティングとフリーバッティングが主流でありましょう。多くの草野球チームでは、トスバッティングに複数の守備(球拾い)が付きます。1対1でトスができるチームが少ないのが草野球チームの特徴といえるかもしれません。しかし球拾いしている方は退屈でなりません。かといって、フリーならいいかというと、これも打つ方はいいにしても、守備側の練習という観点では非効率この上ないものとなります。 そこで最近私のチームで実践しているのが、ハーフ・フリーバッティングです。これはフリーバッティングにトス的な要素を組み入れた方法で、内野陣はポジションに付き、投手がゆるく投げた球を打者が各内野手めがけて打つ、という方法です。打者は自分が狙ったポジションに確実に打球を運ばねばなりません。これは、「引っ張る」「流す」といったタイミングの習得になります。もちろんバットの芯で捉えなければならないのはいうまでもありません。ボールは必ず打ち返しますので、捕手はつけません。 現在、我々は外野は別メニューにしていますが、各チームの状況でパターンは異なることと思います。 「バッティング練習をしていても、守備力も向上させる工夫」について、ひとつの具体例をお示ししました。その他にも効果的な練習方法がございましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。 |