コントロールが乱れている見方投手に、ど真ん中でいいぞ、打たせていいぞ、などのアドバイスをよく耳にしますが、どうなんでしょうね?

11回目の今日は、ピッチャー心理。

コントロールが乱れている見方投手に、ど真ん中でいいぞ、打たせていいぞなどのアドバイスを耳にしますがどうなんでしょうね?

 

第71章
やらなくてもよい失点


 力の差が歴然としており、全く歯が立たないチームと対戦して敗れるのは致し方ないことである。しかし多くの場合、力の差はわずかであることが多い。そんなチームに負ける場合、その原因はどこにあるのだろうか。

 多くの場合、四死球を連発し、失策が重なってやらなくてもよい点を与えたり、四死球と失策で走者を出したところで、長打をあびて大量失点している。したがって、失点は多いが投手の自責点は少ないということが多い。つまり、失点と自責点の差がやらなくてもよかった点なのである。したがって、「失点−自責点」をゼロにできれば、チームの勝率は相当高くなるはずである

 どうすれば、この「やらなくてもよい失点」を少なくできるか。理屈は簡単である。四死球を出さないこと、失策をしないことである。だが、誰にとっても分かりきったこの2点が、実際には難しいのである。

 投手は思ったところに球がいかないと、今日は調子が悪いと考える。なんとかストライクを投げようとするために、普段とは異なる投げ方(肩、肘、指先の使い方)をしがちである。普段やっていないことをやるのだからうまくいくはずがない。ますますコントロールを失ったり、棒球となってしまう。その結果、ますますおかしくなり、ついには立ち直りのきっかけすら失ってしまう。 
 球が走ってなく打ち込まれる場合も同様である。より力を入れて投げ込むか、コントロールに気を配りコーナーを狙いすぎる。このため、かえって棒球になってますます打たれたり、四死球を連発して自滅する。

 つまり、「調子が悪い→平常心の喪失→自滅」の道を辿ることになる。調子が悪くても、冷静さと平常心を取り戻すことだ。コントロールが悪ければボール球を打たせればいいではないか。球が走っていなければ、超スローボールを投げればいいではないか。草野球では、打者は打ちたくてしょうがないのである。四死球は打ち取られるよりはましだが、基本的には面白くないと思っているのだ。だから、多少ボール気味でも打ちごろの球には力一杯バットを振ってくる。そこがつけ目だ。あとは守ってくれる。こうして、ピンチを切り抜ければ落ち着きを取り戻すばかりでなく、気持ちが乗ってくる。そうすれば、普段どおりのピッチングが戻ってくる。

 54章で冷静心について述べた。投手は、闘志に加えてこの冷静心が要求される。冷静な心があれば、自らピンチを脱する方法を考えることができる。力不足ならそれを逆に利用する方法、コントロールが悪ければ、それを逆用する方法を考えればよい。これを「度胸」と呼ぶ人もいる。度胸は無鉄砲ではない。冷静心によって生み出された知恵と行動である。