結構いいキャッチャーとおもっているあなた、もうワンランク上にいけますよ.というか、まだまだやることいっぱいありますよ!

連載も8回目となりました.あと92回

今回は捕手です.重要なポジション(重要でないところはありませんが)であり難しいことは間違いないです.やるべきことがたくさんあり、大変ですね!

 

第52章
「キャッチャー」

 
 

 キャッチャーで最も大事なことは、投手にベストピッチングをさせるべく配球を組み立てることだ。その日の調子、相手打線の調子、気象条件、審判のくせなどを総合的に考慮して投手をのせていく配球を考える。相手が直球を狙っていれば変化球を主体にする、変化球がストライクに入らない時は見せ球として使い、直球のスピードを速く見せるなど頭を柔軟に使う必要がある。カーッとする奴、単純思考な奴はキャッチャーには向かない

 配球ばかりでなくキャッチングも重要だ。際どいコースの球をストライクに見せるキャッチング技術が要求される。球速に押されてミットを流すと、ストライクでもボールに見える。ストライクゾーンの外側から内側に向けてミットを押さえ込むようにキャッチングするとストライクのように見えやすいし、バシッといい音で捕球できる。投手に気分よく投げてもらうための条件だ。

 次に、フットワークが重要である。ショートバウンドの球、左右にそれた球、キャッチャー前のゴロやバント処理などはフットワークが悪いと処理できない。特に、座りっぱなしで、足にレガースを付け、内野手と同様のフットワークが要求されるから、足腰が強くないと務まらない。
 また、球に対する恐怖心があるとショートバウンドを体で止めることなどできない。このために、「三間ノック」という練習方法がある。マスク、レガースを着用したまま、5〜6m先の近距離から強烈なノックを受け、体の前で止める練習だ。最初は死ぬ思いだが、これを克服すると恐怖心は消え失せるし、足腰も鍛えられる。

 当然、盗塁を刺す強い肩も要求される。が、肩よりもさらに重要なのがセカンドベースへのコントロールだ。いくら強肩でもコントロールが悪いと盗塁は防げない。普段のキャッチボールから、山なりのボールではなく、低い弾道のボールを正確に投げる練習を積むしかない。

 そして野球をよく知っており、内外野の守備態勢について的確な判断を瞬時に下し、大きな声で指示しなければならない。誰がどこにカットに入るか、小飛球を捕球するのは二塁手なのか右翼手なのか、ベースカバーがいなければ誰がカバーに入るか等々指示しなければならないことは山ほどある。

 キャッチャーは本当に重労働である。が、
計算通り相手打者を仕留められた時はこたえられない。


【幹事補足】

 守備につき、プレイがかかるまでは、キャッチャーはピッチャーの投球を規定数受けます。そして多くはキャッチャーから二塁へ送球して守備体制の準備を終えます。この時、キャッチャーは間違いなく相手に観察されています。勿論、他の守備陣も観察されてはいますが、この二塁への送球の際は、相手も攻撃体制が整った頃でもあり、非常に目立つ瞬間です。ここで二塁へきっちり送球できなければ、相手になめられる要因となります。もし、私のように肩に自信がない場合は、できるだけなめられないように工夫するのがよろしいでしょう。例えば、投球を受けた後、キャッチャーのポジションからではなく、何げなくちょっと前へ出て送球してもあまり相手にはわかりません。少しでもいい送球ができるように見せるのです。あるいは、逆にキャッチボール程度の軽い送球で済ませ、実力を見せないのも一つの手です。

 また、試合中、一塁にランナーがいれば、キャッチャーから一塁へどんどん牽制球を投げましょう。ほとんど刺せたためしがありませんが、それでも投げます。相手にアクティブなキャッチャーであることを印象付けるためです。そのためあらかじめ一塁手に「投げるからね」とひと声かけておきます。
 相手側のキャッチャーへの評価は、そのまま攻撃態度に反映されがちです。相手を威圧することは難しいですが、少なくともなめられないようにしましょう。

 その他、細かいことですが、キャッチャーは試合前にホームからバックネットまでの距離とその跳ね返り具合を把握しておきましょう。投球を後ろにそらし、ランナーがそれを見て走ったとしても、跳ね返り具合によっては即座に送球し刺せる場合があるのです。

 また打者の立場からすると、しゃべるキャッチャーは不気味なものです。「はい、次ここね。」とか、「じゃ、次で決めよ」など、キャッチャーが発する言葉は打者を少なからず動揺させます。現役時代の野村監督のように露骨に打者に話しかけるのはどうかと思いますが、打者の視野に入らない唯一のポジションであり、かつ最も打者に近い位置にいるという事実を利用するには、「声」は重要な武器となります。