昨日掲載した、第5章「守備のKYT」と関連性が高いので、第6章は後日掲載することにします.
第7章
「思いっ切りのいいプレーと雑なプレー」
野球の解説者は、例えばライン上にチョロチョロと転がった打球に対し、野手がダッシュしてきて素手でつかんで一塁に送球しアウトにすれば、「いやー、思いっ切りのいいプレーですねー」と言い、逆にファンブルでもしようもんなら「雑なプレーですねー」と言う。そんなもの結果論であって、成功したら思いっ切りのいいプレーで、失敗したら雑なプレーだと言われるだけじゃないかと思っている人がほとんどだと思う。 同様に、「丁寧な守り」と「躊躇した守り」も結果論であり紙一重でないか、と思っている人が大半だと思う。
が、違うのだ。紙一重のように見えて、実は大変な違いなのだ。 「丁寧な守り」も「思いっ切りのよい守り」も、前に述べたように、守りのKYTをやっている結果である。「もしどこにどんな球が来たら、自分はどう動き、どこへどんな送球をすればよいか」を、あらかじめ考えているから、無理をしない(=丁寧な守りと表現される)、あるいは間一髪のプレー(=思い切ったプレーと表現される)をし、そしてそれらが結果的に成功しているのである。 ところが、KYTをやっていないと、突然飛んできた打球に戸惑い、慌てるから、ファンブル(=雑なプレーと表現される)したり、投げれば間に合ったかもしれないのに迷いを生じる(=躊躇した守りと表現される)ことになる。 「思いっ切りのよいプレー」と「雑なプレー」は、似て非なるものである。 |