2回目の掲載です.あと98回ありますよ.
第4章
「バッターボックスに入る心構え」
 審判をやっているとよーくわかるのが、好球の見逃し、ボール球に手を出す、サインの見落とし、または間違いである。

 まず、好球の見逃しは、バッターボックスに入る時の気力に欠けているためである。相手バッテリーの気力とバッターの気力の勝負に負けているのだ。そのため好球をつい見逃してしまう。すると「しまった!」という思いが走る。「よし次は打つぞ!」と思い、その切羽詰まった気持ちや負い目が、悪球、または打てない球に手を出させることになる。
 2ストライクを取られるまでは、自分の打てる球、あるいは狙い球が来るまでじっくり待てばいいのだ。それ以外は堂々と見逃せばよい。これが心のゆとりにつながる。心にゆとりがあれば、悪球に手を出さない。サインを見落としたり、間違えることもない。そして、相手バッテリーにとっては、なんとなく不気味に感じる。その結果、ピッチャーはビビり、これがコントロールを微妙に狂わす。従って打ちやすい球が来て、ヒットする確率が高まるのである。

 プロ野球でも、大打者ほどホームランボールが来るように見えるのは、実はピッチャーがビビるからだ。逆に言えば、バッターは打ちそうだという印象をいかに相手に伝えるかが大事なのだ。ランナーがいる時は一球毎にボックスを外し、監督のサインをジッと見る。サインが出ていなくても何か出ているような見方でジッと見つめる。バッテリーにとって、こんな奴が一番いやなのだ。何かやってくるのではないか、そうでなくともこのバッターはゆとりがあって打ちそうだな、という気になるものだ。

 2ストライクまでは、

  1)自分の打てる球をじっくり待つ。
  2)ボックス内では堂々とボールを見逃す。
  3)いかにも打てるぞ、という態度・構えをする。
  4)ランナーのいる時は一球毎にボックスを外しサインを見る。
    またサインが出ていなくても出ているようなふりをする。